錆色の夏

療養のため、この夏は山奥のお屋敷で過ごすことになった。
今日は花火大会ということで、屋根裏部屋に登り、遠くで広がる大輪を眺める。


楽しい納涼の時間は突然襲来してきたアンデッドの兄弟によって終了した。
屋敷はアンデッドに破壊され、廃墟と化してしまう。


座敷に置いてあった刀を取り、襲撃に備える。
見つかることなく済めばそれでいいと思っていたけど、あっけなく見つかった。
西洋風の長剣や鋸のような禍々しい何かを投げつけて来た兄者。
そのどれもが血に染まっていた。
飛来した凶器を避けたものの、兄者の姿は見えない。
あたりを探すと、物見櫓の上に立っていた。
追いかけて櫓を登るも、なぜか櫓は風化してしまっている。
崩壊する櫓から飛び降りたが、ひどく身体を打ってしまった。
続いて兄者も落ちてきた。
兄者も着地に失敗したらしく呻いているが、これはチャンスだった。
刀を抜いて兄者を斬り倒し、息の根を止める。
アンデッドだし既に止まってるか、なんてことを思いながら脳と心臓を破壊する。
これで安心なはずである。


気付くと自分以外にだれも居なくなっていた。
こんな赤茶けた鉄臭い地獄にひとりきりになると急に不安になり、下山することに決めた。
行方のわからない弟者のことが気にかかるものの、ここにいるよりはマシだった。


薬を忘れたことを思い出し、引き返す。
さっきまであったはずの廃墟は消え、綺麗な新築のお屋敷が建っていた。
しかし誰もいない様子で、扉には鍵がかかっていた。
弟者が潜伏している可能性もあるので、長居はできない。
どうがんばっても中に入れそうになかったので諦めて下山する。
中腹まで来た頃、死んだと思っていたお屋敷の住人たちがぞろぞろ登ってくるのが見えた。
何が起こっているのかさっぱり分からない中、再びお屋敷に帰ることになった。


得体のしれないスープを飲み、ひょっとしてこいつらみんなグルなんじゃないかと、遠のく意識の中そんなことを思う夏のある日。